聴こえる音・聴こえない音

 S.K

  1. 物をたたいたり、強くこすったりすると音がでます。音はふつう空気を伝わって聴こえてきます。
    太鼓をたたきます。→太鼓に張ってある皮がふるえます。(振動)→そのふるえが空気をふるわせます。(空気振動)→ふるえが空気中を伝わって耳に届き、鼓膜をふるわせます。→空気のふるえが音として聴こえます。
  2. 音には人に聴こえる音と聴こえない音とがあります。聴こえない音はとても低い音か、とても高い音のどちらかです。人には聴こえないとても低い音を超低周波音といいます。聴こえるように感じるけどよく聴こえない低い音を低周波音といいます。反対に人には聞こえないとても高い音を高周波音または超音波といいます。
  3. 象は低い(声)音を出して仲間と連絡をとりあいます。その声はと遠くまでとどきます。鯨も海中で象と同じように低い声を出して仲間と連絡をとりあっています。鯨が出す音もとても遠くまで届くそうです。空気中と水中では音の伝わり方が少し異なりますが、ふるえ(振動)によって伝わっていくのは同じです。こうした低い音のことを低周波音といいます。
  4. こうもりは洞窟の中など真っ暗なところでも自由に飛びまわることができます。それは人には聴こえない音(超音波=超高周波音)を出し、それがはねかえってくる(反射)のをとらえて自分の位置や周りの様子を知ることができるからです。いるかも海中で同じようにして位置や周りの様子を知り、仲間と連絡しあっています。
  5. 音は空気、水などいろいろな物(物質)を伝わって聴こえてきます。伝わり方は物によって少しずつ違いますが、振動によって伝わるのは同じです。
    紙コップを糸でつないだ糸電話で友達と話をしてみましょう。紙コップに口をあてて声を出すと紙コップの底がふるえます。(振動)そのふるえが糸をふるわせて伝わっていきます。伝わってきた糸のふるえが向こうにいる相手の紙コップの底に伝わり、紙コップをふるわせます。こんどは紙コップのふるえが紙コップの中の空気をふるわせます。その空気のふるえが耳に伝わり声として聴こえてきます。
  6. コップに水を入れ、その上で手をたたいてみてください。ポンと音を立てるのとほとんど同時にコップの水がゆれます。音が空気を伝わり、水をゆらすのです。音には力(エネルギー)があります。音がもつ力のことを音圧といいます。音の大きさにより水のゆれかたは異なります。小さな音はわずかなゆれ、大きな音は大きなゆれになります。音の大きさにより力がちがってきます。
  7. こんどは静かな池に小石を落としてみてください。小さな波紋が広がっていきます。これが高い音の伝わり方です。大きな石を落とすと大きな波紋が広がっていきます。どちらかというと、これが低い音の伝わり方です。よく比べてみると小さな石の波紋は波と波の幅が短く、大きな石のばあいは、波と波の幅が長くなっているはずです。この波の幅と同じように、空気中を伝わる音の波(ふるえ=振動=音波といいます)にも幅があります。
    これを波長といい、周波数という言葉で表します。短い波長(高い周波数)の音は高い音、長い波長(低い周波数)の音は低い音になります。また、波の高さが低いと力(エネルギー=音圧)が小さく、高いと力が大きいということになります。
  8. 海を見てみましょう。波が立っています。ふつうの波は高い音の伝わり方と同じです。波の高さは低く、幅(波長)もせまいでしょう。しかしよく見ると、うねりもあります。これは低い音の伝わり方と同じです。低周波音はうねりのように空気の波になって伝わってきます。さらに台風などの時には、大きなうねりが押し寄せてきます。うねりとうねりの幅(波長)が何十メートル、高さが十メートルにもなることがあります。これは人には聴こえない音=超低周波音の伝わり方と同じです。うねりの高さが十メートルもあるときはものすごい力(エネルギー=破壊力)があります。このような時は危険ですから海に近づいてはいけません。
  9. 音がうるさい時は戸や窓を閉めます。するとだいたいは静かになります。戸や窓を閉めて静かになる音はいわゆる騒音で、周波数が高めで音圧が低い音になります。
    ところが戸や窓を閉めても聴こえてくる音があります。こうした音は周波数が低く、音圧が高い音になります。
  10. 窓を閉めていても雷や花火の「ドン」という音は室内に響いてきます。窓ガラスを「ビビ~ン」とふるわせることもあります。こうした音は低周波音で強い力(エネルギー=音圧)があります。低周波音は力が強いので二重サッシなどで防音しても
    あまり効果がありません。窓ガラスを突き抜けたり、回り込んだりして室内に侵入してきます。
  11. 自然の中には雷のほかにも大波の音、火山の噴火音、地震の時の音などいろいろな低周波音があります。これらはみな怖くて恐ろしい音ですが、いつも聴こえてくるわけではありません。特別な時だけです。しかし、人が造ったさまざまな機械類などからも低周波音や聴こえない超低周波音が出されています。
  12. 低周波音や超低周波音は力(エネルギー)が強いので頭蓋骨を突き抜けてしまうといわれています。そして人の健康にさまざまな影響を与え、睡眠を奪ったり、めまいや頭痛の原因になったりします。風車からもこうした人の健康をそこなう低周波音や超低周波音が出されています。

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