四日目(最終日)20081129(土)晴れ

AM. 10:00 

“M 社”が建てた 細谷風力発電所付近では、まだまだたくさんの被害者の方々がいらっしゃるようだ。その方々のお話を伺うことができた。

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E Mさん(女性)の話(風車から約700mの場所に住んでいる。)
「なんと表現したらいいでしょうか。胸を前後からグーッと圧迫されている感覚で、常に苦しいんです。」

「医者に行っても異常がなく、更年期障害ではないかと言われてしまう。風車が稼動してからその症状は始まり、良くなる事はなく常に身体が重い。しかし、風車から遠く離れた地に出かけると、その間だけは胸の圧迫感が弱まり、苦しい感覚から解放される。誰にも理解してもらえず、誰にも低周波による被害とも認めてもらえない。」
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F Aさんの話(風車から600mの位置に居住)
「とにかく、夜寝ても夜中の2時〜3時頃になると毎晩、起きてしまう。寝た気がせず、常に睡眠不足。寝覚めが悪く、頭が重い。」

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M
さん、Aさんのように、「眠れない。寝ても夜中に起こされてしまう・・」という苦しみは、被害にあわれている皆さんが抱えている問題のようだ。更に驚いた事に、風車から自宅までkmも離れているにも関わらず、低周波被害を訴える方がいらっしゃった。

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G Oさんの話  住まいは風車から3km離れている。(前出のO氏とは別の方)

「3kmも離れているから、大丈夫だと思っていた。・・・まさか自分が・・と思ったよ。
風車からの騒音は聴こえるが、夜中かすかに聴こえる程度なので、最初は何故起こされるのかわからなかった。低周波の被害は2km位までと聞いていたのだが・・。しかし、現に私は3km 離れていても苦しんでいる。今でも眠れない日々は続いている。」

「風車稼動後すぐに症状が出た。今までとは違う体の感覚で、夜眠れなくなった。
寝ついても、夜中2時〜3時頃起こされてしまう。そのような時間に起こされるものだから、毎日寝覚めが非常に悪い。」


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このような辛い生活を強いられている方々が、実はたくさんいらっしゃった。口を開く事の出来る方々はまだよい方で、

     周囲からの圧力で口を開くことができない方

     症状は出ているが確信を持てるほどでなく、言いづらい方

     『反対派』に押しやられるのが怖くて我慢を続ける方・・・等々、様々な方々がいらっしゃるようだ。

また、田原臨海風力発電所の周囲でこのような事も起こったという。

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G Oさんの話
「13基の風車が建っているT社工場周辺から、海上沖2kmに『姫島』という無人島がある。そこへ友人達と船で遊びに行った。島に渡ってしばらく遊び、浜に寝転がっていた。暫くして、さて起き上がろうとすると、身体が全く言う事をきかない。自分の意志では起き上がれない状態になっており、友人が手を引っ張って助け起こしてくれた。」

「起き上がった時には、頭の後ろが殴られた様にずっしりと重かった。圧迫感やら気持ちが悪いやらで、その島にいる事はもうできなかった。友人は身体を横たえていなかったせいか、私のようなひどい症状に陥る事はなかった。」

「あの付近の魚が、いなくなるわけだよ・・・」Oさんはポツリとそう言われた。

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PM.2:00
お世話になった方々に挨拶を済ませ、いよいよ帰路についた。

被害を受けている方々にお話を伺いながら、「今更反対しても、もう遅い」とあきらめてしまったら南伊豆の町は壊れていくのだ、と痛感した。

事業者は地域住民に「“被害”が起きたら保証します」と、簡単に約束する。
しかし 実際に被害が起こっても、どこの場所のどの業者も、その住民の“被害”をなかなか認めようとしない。

事業者達が言う「保証する」とは、運転を止めずに事業を続行する為の一時的な策でしかなく、何か問題が起こったとしても、応急処置をその都度行なうだけなのだ。
 “風車の被害”が公害として認められるまでには何年もかかるだろう。

事業者達は「他社の風車に比べ、当社の機種は静かです。」と 南伊豆だけでなく、どの計画地でも同じ事を言っていた。今回話を聞かせていただいた皆さんも、

「うち等の所に建てる時も『ウチの会社の風車は静かだ』と言われた。ところがどうだ、蓋を開けてみりゃ、騒音や低周波で悩まされ続けている!」と、声を揃えておっしゃっていた。

事業者は風車と住民の共存を考えているわけではない。利益が優先なのだ。風車が建ってしまえば、何か問題が起こっても騒がれないギリギリの処置しか行わず、根本的な解決には向かわない。

しかし風車が建つ前ならば、建設途中であろうと、住民の安全が確保できない限り、住民の不安の声を無視して工事を押し進める事はできないはずだ。風車が建ってしまって、大勢の被害者が出る前に何かできる手だてはないものか。

様々な思いで いっぱいになりながら、PM.9:00頃、南伊豆町に帰りついた。

 

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